禹よ、反対意見は常にある、あとは決断。

求刑無視、主犯スマップ、説教しながらレイプするのが大好きな武田鉄矢、此処に名前出てる奴、女もな、一族郎党ゴミ処刑で。

レイプも殺人も共食いな。

で、なんか言いたいことあるか?聞かんけど。同姓同名とか細かいことも気にするな。


          主    文
     原判決中、被告人A、同C、同Dに関する部分を破棄する。
     被告人Aを懲役二〇年に、同Cを懲役五年以上九年以下に、同Dを懲役
五年以上七年以下にそれぞれ処する。
     被告人A、同C、同Dに対し、原審における未決勾留日数中三五〇日を
それぞれその刑に算入する。
     被告人Bに関する本件各控訴を棄却する。
         理    由
 検察官の控訴の趣意は、東京高等検察庁検察官樋田誠が提出した控訴趣意書(東
京地方検察庁検察官北島敬介作成名義)に、これに対する答弁は、被告人Aの弁護
人近藤文子、同神谷信行、被告人Bの弁護人羽賀千栄子、同伊藤芳朗、同大沼和
子、同菅野庄一、被告人Cの弁護人荒木雅晃、同岡慎一、同吉村清人、同黒岩哲
彦、被告人Dの弁護人清水勉、同田中裕之がそれぞれ連名で提出した各答弁書に、
被告人Bの弁護人の控訴の趣意は、同被告人の弁護人羽賀千栄子、同伊藤芳朗、同
大沼和子、同菅野庄一が、被告人Cの弁護人の控訴の趣意は、同被告人の弁護人荒
木雅晃、同岡慎一、同吉村清人、同黒岩哲彦が、それぞれ連名で提出した各控訴趣
意書に、これに対する答弁は、東京高等検察庁検察官樋田誠が提出した各答弁書
に、それぞれ記載されたとおりであるから、これらを引用する。
 第一 検察官並びに被告人B及び同Cの各弁護人の各控訴趣意
 一 被告人Cの弁護人の事実誤認の主張
 所論は、要するに、以下のように主張し、原判決には事実誤認がある、というの
である。
 1 原判示第一の(1)関係
 (1) 原判決は、被告人らが原判示の下の公園に移動した後、被告人Cにおい
て、E(以下、単に「被害者」ということがある。)を猥褻目的で略取、監禁しよ
うと企てた被告人Aらの意図を察知し、自室を監禁場所に提供することを承諾した
旨判示し、被告人Cについて、右時点で被告人Aらとの間で、Eに対する略取、監
禁の共謀が成立したものと認定しているが、被告人Cは、右の段階で、Eの監禁場
所を自室とすることを承諾したことも、他の被告人らとの共謀に関与したこともな
いのに、原判決は、被告人A、同Bらの原審公判供述の評価を誤り、殊に、Eの監
禁場所の決定が被告人Aと同Bの間でなされたことを否定ないし緩和しようとして
なされた疑いが強く、信用性のない被告人Bの供述を採用するなどして、前記のよ
うに認定したものであるから、原判決には事実誤認がある。
 (2) 原判決は、被告人ら四名全員で、Eを被告人Cの居室に連行した旨判示
するが、被告人Cは、同被告人方居室へEを連行した行為には関与していないの
に、原判決は、信用性の低い被告人Bの原審公判供述や、別の日の出来事と混同し
た疑いの強いFの検察官に対する供述調書の該当部分を採用するなどして、前記の
ように認定したものであるから、原判決には事実誤認がある。
 2 原判示第二関係
 原判決は、被告人CのEに対する未必の殺意を認定したが、同被告人には、Eに
対する殺意はなかったものである。すなわち、
 (1) 原判決は、一月四日のEに対する暴行について、当初行われた暴行は、
いじめの一態様として前月下旬ころまでEに加えられた暴行と意図において変わり
がなく、暴行開始の当初から、被告人らに対し未必の殺意を認めることはできない
としながら、被告人C及び同Bについて、同被告人らが、Eに対して、その存在を
否定する方向での気持ちが高まって、Eへの強い攻撃性・排斥感をみなぎらせ、当
日の、常識では考えられない犯行に及んだと判示して、同被告人らが、暴行開始の
時点でも、未必的殺意発生につながるような潜在的殺意ともいうべき心理状態にあ
ったとし、これを暴行途中での未必の殺意発生を認定する一根拠とするのである
が、被告人Cは、Eに対する暴行の当初から、そのような特別の排斥感などを抱い
ていたものではなく、当日の暴行は、被告人Aが、賭け麻雀で大敗し、むしゃくし
ゃした気持ちをEへのいじめによって晴らそうとしたことから始まったもので、被
告人Cは個々の場面では積極的行動をとっているものの、それは被告人Aの指示な
いし主導の下に行われた、集団的暴行の雰囲気に引き込まれたものに過ぎず、原判
決の前記認定は誤りである。
 (2) また、原判決は、当日の暴行が、常識では考えられないものであり、被
告人Cにおいても、Eに対して執拗かつ強度の暴行を加えているとして、これを同
被告人に対する未必の殺意認定の一根拠とするが、当日の暴行も、その一つ一つはEに対するいじめとしてなされたもので、その以前の暴行と質的に異なるものでな
く、原判決の重視する鉄球付き鉄棒による暴行もEの太腿部に加えられており、原
判決のように、暴行の執拗さだけから殺意を認定することはできない。
 (3) また、原判決は、被告人Cらが、Eの生存に配慮をせず、かつ、その死
に無関心な態度を取り続けたことを未必の殺意認定の一根拠とするが、それは、同
被告人において、Eが死亡するなどということがおよそ念頭になかったということ
を示すものであり、無関心な態度それ自体を殺意認定の根拠とすることは誤りであ
る。
 (4) 原判決は、当日の暴行の程度は、Eの当時の衰弱度に照らすと、死の危
険を招来する高度の蓋然性を有していたもので、一連の事態の推移を目の当たりに
し、自らも、終始、積極的に加担した被告人C及び同Bにおいては、このまま暴行
を加え続ければ、Eが死んでしまうかも知れないとの考えが生ずるに至ったものと
推認するのに矛盾はない旨認定し、右認定を正当化する根拠として、「本件では、
被害者の衰弱度や死に至るかも知れないことへの認識の甘さ・希薄さが目立つけれ
ども、目前の事実そのものを知覚していることに変りはなく、ただ、その事実の持
つ心的な意味や、事実間の意味ある結び付きを切り離すという、自我の無意識な働
きがあったもので、右のような心理的な事態は、成人の犯罪においても程度の差こ
そあれ生じるもので(中略)、意識障害等の異常が一切認められない被告人らにと
って、殺意を否定する根拠とはならない」と判示しているが、右は、被害者の衰弱
度や死の危険性についての、被告人Cらの認識状況の希薄さを一方で認定しつつ、
なお、殺意を認定しようとして、証拠に基づかない特異な論理に依拠するものであ
り、被告人Cは、その発達過程において、人の死の危険性についての合理的な判断
能力を形成しえていなかったため、被害者が死に至る危険な状態にあるという事実
そのものを認識していなかったのであるから、同被告人に対して、原判決の論理は
当てはまらない。
 (5) 原判決は、被害者が、不意に転倒して室内のステレオにぶつかり、痙攣
を起こすなどした時点で、被告人らにおいて、このまま暴行を加え続ければ、Eが
死亡するに至るかもしれないことを認識したと判示しているが、被告人Cは、Eの
右転倒を仮病だと考え、その旨発言したことは、同被告人が原審公判でも一貫して
供述しているところであり、原判決も、同被告人が右の際「仮病だ」と言った旨認
定し、これを無責任な説明と評価している。同被告人は、Eの転倒を仮病と考え、
だからこそそのように発言したのであり、同被告人が、右の時点でEに対する未必
の殺意をもった、との原判決の認定は誤りである。
 以上のとおり、原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認があ
る。
 二 検察官の量刑不当の主張
 所論は、要するに、以下のように主張する。
 原判決は、被告人Aを懲役一七年に、同Bを懲役五年以上一〇年以下に、同Cを
懲役四年以上六年以下に、同Dを懲役三年以上四年以下にそれぞれ処する旨の判決
を言い渡したが、原判決の量刑は、著しく軽過ぎて不当である。すなわち、
 1 被告人らは、本件各犯行当時、いずれも少年であったものであるが、少年に
対し、刑事責任を追及し、刑罰を科する場合、いかなる科刑をなすべきかについて
検討すると、少年法においては、少年の保護、福祉という観点から、犯人に対し社
会復帰の機会をできるだけ与えるべきことや、刑の教育的、矯正的意義が強調さ
れ、死刑、無期刑の緩和、相対的不定期刑の特則等が設けられている。しかし、罪
を犯した少年の年齢、資質、前科、前歴、当該犯罪の罪質、動機、手段、方法の執
勧性、残虐性、被害者及び遺族の感情等を総合し、少年の保護、福祉の要請より
も、社会秩序維持の要請を優先させるべき場合にまで、犯人が少年であることの故
のみをもって、一律に寛刑を科さなければならないとする理由はない。本件のよう
な場合は、事件の重大性、凶悪残忍性、非人道性を直視し、犯人の責任に応じた厳
罰をもって臨むことこそ社会正義を実現する所以であり、少年法が、少年に対して
死刑や無期刑を科する余地を認めているのは、このような考え方に基づくものとい
うべきである。
 少年に対する保護優先主義、寛刑主義の考え方は、行き過ぎると、少年に対し法
軽視の風潮をもたらし、社会秩序の維持に回復し難い弊害をもたらすおそれが大き
く、一般予防の見地から憂慮すべき事態を招くことになる。
 本件は、少年の健全育成の側面よりも、本来の刑事責任の追及に重きを置くべき
事案であるのに、原判決は、少年法の一般的原理を強調するあまり、社会秩序維持の要請を軽視し、検察官の求刑を大幅に下回る刑を言い渡したもので、量刑につい
ての姿勢に基本的な誤りを犯している。
 2 本件各犯行は、いずれも犯情極めて悪質であるが、とりわけ、Eに対する狼
褻誘拐・略取、監禁、強姦、殺人、死体遺棄等の一連の犯行は、稀に見る重大かつ
凶悪な犯罪で、その残虐さ極悪非道さは、過去にも類例を見出だし難い。
 Eに対する右一連の犯行は、被告人A、同Cが、強姦目的で女性を物色し、たま
たま通りかかったEを拉致し、被告人ら共謀のうえ、Eを略取して強姦し、暴行、
凌辱を加え、犯行発覚を恐れて長期間監禁し、遂にはその処置に困り自己保身のた
め殺害し、死体をコンクリート詰めにして遺棄したもので、その動機は極めて反社
会的、自己中心的なものであり、その犯行態様も、Eに対し多数回にわたり常軌を
逸した暴行、凌辱等を加えた、極めて残虐かつ執拗、冷酷なもので、そこには人間
性のかけらも見られない。結果はもとよりまことに重大であり、被害者に責められ
るべき落ち度は全くなく、一七歳という春秋に富む時期に、被告人らに残虐非道の
仕打ちを受けて惨殺された無念さは測り知れない。また、被害者の両親ら遺族の被
害感情は極めて強く、検察官の求刑と原判決の量刑を知って、「裁判は自分達とは
関係のないところで行われている。到底承服できない」と訴え、司法制度全体に対
して、深い不信感、絶望感を抱いているのである。また、本件が社会に与えた影響
も極めて深刻である。
 被告人A、同Bらの犯した他の二件の強姦の各犯行も、事前に共謀して計画的に
なされた通り魔的犯行で、暴力団員の用いるような脅迫文言を申し向けたり、果物
ナイフ、繰り小刀を突き付けるなどして、被害者らの反抗を抑圧して輪姦し、被害
者らに深刻な精神的、肉体的苦痛を与えるなど、その犯情は極めて悪質であり、し
かも、そのうち一件は、Eを監禁して暴虐の限りを尽くし、Eが衰弱しきった段階
で敢行されたもので、被告人Aらは、一方でEを弄びながら、他方で、更に新たな
被害者を物色して輪姦したのであり、ここにも、同被告人らの人間性を欠如した自
己中心的態度が顕著に現れている。
 被告人A、同BらによるGに対する傷害事件も、動機において全く酌量の余地が
なく、犯行態様も一歩間違えれば、生命を奪うおそれのある危険なもので、その犯
情は極めて悪質であり、傷害の結果も重く、しかも、右犯行はE殺害の直後になさ
れたものであって、ここにも、同被告人らの根深い粗暴性を看取することができ
る。
 被告人A、同B、同Cらによる窃盗事件は、無為徒食していた同被告人らが、金
銭に窮するや、次々と窃盗の犯行に及んでいたもので、その態様も、深夜における
侵入盗や、バイクに乗って通行人の携帯物をひったくるという危険なもので、窃取
額も多額に上っており、その犯情は悪質である。
 3 原判決はEに対する事犯の全般的な情状評価を誤っている。
 (1) 原判決は、被告人らが、「当初からこれほどまでの監禁を意図していた
ものではなく、計画性のない、場当たり的な犯行が発端となっている」と判示して
いる。しかし、被告人らは、自らの獣欲を満たすため、被害者に対するリンチと輪
姦を企図したものであり、当初から相当の期間監禁することを見込んでいたと認め
られるうえ、Eを帰宅させる意思のないまま長期間、Eの自由を拘束した点を重視
すべきである。
 また、その態様は、被告人A及び同Cにおいて、強姦の被害者となるべき女性を
物色して帰宅途中のEを発見し、被告人らが意思を通じあって、Eを被告人C方に
閉じ込め、リンチや姦淫の行為に及んだ、極めて巧妙なもので、計画性がないと
か、場当たり的犯行であるなどとは到底いえない。
 (2) 原判決は、また、被告人らが、Eを監禁後、「暴行を加え続けることに
より、深刻・異常な事態への心理的抵抗感が緩んで暴行が増長され、結果としてE
を帰す方法に窮し、ずるずると監禁が長期に及ぶにしたがって、抜け道のない状態
に陥った」旨判示している。
 しかし、被告人らは、そもそも見ず知らずの女性を拉致し、強姦等を行い、凌辱
行為に及ぶことに、何ら抵抗感を有していなかったばかりか、もともと自己以外の
者については、人としての尊厳など認めていなかったのである。原判決の右判示
は、被告人らの従来からの行動や考え方を考慮に入れず、少年一般の行動様式を被
告人らの本件所為に単純に当てはめた近視眼的、皮相な見方である。
 被告人らは、EをC方に拉致したが、拉致段階から、Eをある程度の期間留め置
き、姦淫したり、虐待する意図であったと認められる。原判決の、結果としてEを
帰す方法に窮した旨の認定は誤りであり、抜け道のない状態に陥ったとの評価も根拠に欠ける判断である。
 (3) 原判決は、被告人らが、「被害者の処置に困惑し、次第に心理的閉塞感
が高じ、最終段階では、いじめを主眼とする暴行の過程において、未必的な殺意が
生じ、一挙に過激な攻撃行動として発散したものとみられる。その意味では、精神
的に未熟な少年らが事態を打開できないまま、不幸な結末に至った側面もある」と
判示する。
 しかし、被告人らは、Eを監禁中、自由に他人と交わったり、強姦を行うべく、
他の攻撃対象を求めていたことが認められるのであって、被告人らには、Eを助け
ようなどという意識は毛頭なかったのであり、心理的閉塞感が高じたと認定する根
拠は薄弱である。
 そして、Eが監禁されていた間の状況を見ると、昭和六三年一二月二六日ころか
らは、一日に牛乳二〇〇CC位を与えたのみで、同月末ころには、Eは、自分で立
つことも困難で一階の便所へ行くにも数十分かけて、這って行く程に衰弱し、昭和
六四年一月に入ってからは、牛乳も与えられず、栄養失調のためますますやせ細
り、体力もいっそう衰えるに至ったものであるが、被告人らは、そのころ、「女の
ことどうする。殺して埋めるかな」「殺すならミンチがいいですよ」、「ドラム缶
に入れて焼けばよい」「コンクリート詰めにして海に捨てれば警察にばれない」な
どと、何度も話を交わしたことが認められる。被告人らは、Eがひと思いに殺して
ほしいと嘆願するのを無視して、連日のように凄まじい暴行を加え、いわば、なぶ
り殺しにしたのであって、本件暴行をいじめとして捉えるのは筋違いである。被告
人らの殺意が未必的であるからといって、被告人らに有利な情状となるものではな
い。本件一連の経過をみれば、その計画性、巧妙さ、狡猾さのいずれにおいても、
成人の犯行に比し何ら遜色がない。本件の原因を被告人らの精神的未熟に帰し、寛
刑の理由とすることは到底できない。
 (4) 原判決は、「被告人らの非行性と社会からの逸脱度が急激に深化し、犯
行態様が大人顔負けの残虐性を有するに至った背景には、暴力団関係者からAを介
しての少年らへの働きかけに起因する生活環境の悪化と、少年らのやくざ集団への
傾斜・取り入れの作用も、間接的に関わっていたことがうかがえる」と判示する。
 しかし、被告人らが、暴力団と関わりを持ち、露店で手伝いをしていたことが、
被告人らが非行性を帯びる背景事情の一つになっていたと考えられるものの、被告
人らが非行を重ねるようになったのは、なによりも被告人ら自身の責任といわざる
を得ない。自己の境遇を乗り越えて成長する意欲があれば、いくらでも更生の機会
があったのに、被告人らは何らの努力もしなかったのであり、その責任を他者や社
会一般に転嫁することは許されない。
 4 原判決の被告人らに対する量刑は、少年によって犯された、最近の同種事件
の量刑に比しても極端に軽過ぎる。
 被告人A、同Bについて、無期懲役を選択しなかった原判決は、同被告人らの刑
責の重大性及び一般予防に配慮を欠いたことにより、他の無期懲役事件の判決に比
し極端な不均衡を招来したものであり、また、原判決の被告人Cについて懲役四年
以上六年以下、同Dについて懲役三年以上四年以下という量刑は、被害者側に多大
な落ち度があったり、限定責任能力等の酌むべき事情が存在して、本件と全く事情
を異にしながら、同程度の刑が言い渡された殺人、同未遂の事案に比して、あまり
にも軽きに失する。
 5 被告人らの個別的な情状を見ると、いずれも積極的に犯行に関与し、犯罪者
性向が極めて強固であるなど情状悪質であるのに、原判決はその評価を誤ってい
る。
 (1) 被告人Aは、小学校時代からの素行不良者で、非行を繰り返して保護観
察処分を受けるなど、保護の手がさしのべられても、これを拒絶して、暴力団構成
員となり、強姦等の悪質な事件を繰り返していたもので、その悪性は根深く、矯正
はほとんど不可能といってよい。同被告人は、被告人らのグループの中心的存在
で、本件一連の犯行の首謀者であり、犯行に当たっても常に主導的役割を演じたも
ので、各犯行に見られる同被告人の残忍性、人間性の欠如、反社会性は著しい。
 原判決は、「Aには、脳の器質性の欠陥があって、行動の制御能力や性格形成に
影響を与えており、これが本件犯行に直接関わっていたとまではいえないにして
も、シンナーの吸入とあいまって、本件における行動選択の不適切性や、暴行のも
たらす興奮や高揚が徹底的な攻撃をもたらした過程において影響を及ぼしている」
と判示する。
 しかし、原判決が依拠したH作成の鑑定書や同人の原審証言(以下「H鑑定」という。)は、同被告人の早幼児期における脳の器質性障害を強調する余り、同被告
人がシンナーを乱用したことを軽視している。H鑑定は、「Aの特異なパーソナリ
ティや行動パターンは脳障害である故の部分が大きい」というが、シンナー乱用は
同被告人の人格形成に多大の影響を与えており、特異なパーソナリティや行動パタ
ーンは自己が多年にわたり培ってきた結果というべきで、先天性あるいはそれに近
い不可抗力的要因はさほど重くみるべきでない。原判決が量刑に当たり依拠したH
鑑定には種々の疑問がある。
 また、原判決は、被告人Aの両親が私財を投げうって五〇〇〇万円を被害者の遺
族に提供したとして、これを同被告人に有利な量刑事情とするが、本件が残虐極ま
りない重大事犯であり、遺族は、なお被告人らの厳重処罰を求めていることを考え
れば、右謝罪金の支払いをもって、本来無期懲役相当の事案を有期懲役に減ずべき
理由とはなりえない。
 (2) 被告人Bは、小学四年生のころから級友等に暴力を振るい、高校に入学
してもほとんと登校せず、一学年の一一月除籍処分になり、生活は荒れ、母に対し
て暴力行為に及び、昭和六三年四月都立高校定時制へ入学したが、二か月で退学
し、非行化が顕著になった。同被告人に保護処分歴がないとはいえ、本件犯行は、
同被告人のこのような無反省な生活態度や自己中心的性格に深く根ざしたもので、
その矯正は極めて困難である。
 同被告人は、被告人らのグループでは被告人Aに次ぐナンバーツーの地位にあ
り、被告人Aの指示を受け、あるいは独自の判断で、被告人C、同Dなどのグルー
プ構成員を指揮し、被告人Aの片腕的存在であった。本件各犯行は被告人Aの主導
のもとに敢行されたものではあるが、Eに対する一連の犯行にあっては、同被告人
からEを誘拐した旨の連絡をうけるや、「さらっちゃいましょうよ」などと、同被
告人を唆す発言をし、監禁中の凌辱についても、極めて残忍な行為を積極的に行っ
ている。被告人Bは、被告人Aが怖かったからEに凌辱を加えたかのような弁解を
しているが、同被告人は、被告人Aが同席していないときにも、Eが尿をこぼした
として、被告人Cと共に、Eの顔が変形して、頬と鼻の高さが同じになるほどの暴
行に及ぶなどしているのであり、被告人B自身の残忍な性格や反社会性の故に犯行
に関与したものというべきである。そのうえ、同被告人は、原審公判において、誘
拐のことは分からなかったとか、強姦の意思はなかった、あるいは、殺意はなかっ
たなとと不合理な弁解をし、自己の責任を免れ、軽減するため、すべてを被告人A
のせいにする主張を繰り返し、反省の情が見られない。
 原判決は、「Bの未熟で偏りのある人格形成過程には、幼少時期からの両親から
受容されない家庭などといった、他律的な要因が重畳的に関わっており、この屈折
した心理がAへの無批判な追従を促した」旨判示し、同被告人の家庭環境、成育環
境等に同情すべき余地があるとの判断をし、人格形成における他律的要因や、被告
人Aに対する追従を過大に評価している。しかし、家庭的に恵まれない者は社会に
多数存在するが、これらの者でも社会に適合し、犯罪に走ることなく、一般社会人
として立派に生活しているのが通常であり、同被告人の場合、両親が離婚している
とはいえ、その愛情を受けて成育してきたのであり、同被告人が非行に走ったの
は、自らの怠惰な性格と意思の弱さに起因するのであって、原判決のように、他律
的要素に責任を転嫁すべきではない。
 また、原判決は、同被告人の「両親が法廷で被害者らに対する心からのお詫びの
心情を述べ、金額的には僅かながら、遺族らに将来償いをする資金のため預金を継
続的に開始し、今後もBを温かく支え続けることを申し出ている」と判示するが、
それは、いわば親権者として当然の責務であり、しかも、右預金は原審の結審間近
である平成二年五月から開始され、累計六五万円程度に過ぎない。また、両親のこ
れまでの同被告人に対する放任的な接し方からみると、申し出どおりの監護能力が
存在するとは到底考えられない。
 (3) 被告人Cは、怠惰な性格であって反社会性が顕著であり、その性格矯正
には長期間を要する。同被告人は、小学校の高学年から母親に対して暴力を振るう
とともに、恐喝、万引などの非行を始め、その後非行が顕著に重なっていく中で、
本件犯行に至ったもので、気ままで怠惰な生活習慣が染みついている。そして、同
被告人は、被告人ら四名の中では最年少であったものの、本件各犯行に積極的に関
与し、Eに対する一連の行為においても、他の被告人らと共に暴虐の限りを尽くし
ており、その人間性の欠如は甚だしい。原判決は、「Cは、最年少であって、可塑
性も年齢相応に想定されるうえ、性格的に被影響性・被暗示性が高く、A・Bに指
示・影響されて過激な行動に及んだ側面もある」と判示するが、同被告人が最年少であって、被告人Aらに指示されるなどして犯行に及んだ面があることは否定でき
ないけれども、同時に、同被告人は、自ら進んで被害者に対し暴行、凌辱を加えて
おり、その態様も被害者の顔面が腫れ上がるまで殴打するなど凄まじいものであ
る。また、原判決は、同被告人の「両親が陳謝の念を示している」などと判示する
が、親権者としては当然のことであり、また、同被告人が家庭内暴力を経て親の監
督、統制を離脱した従前の経緯からみて、両親の監護は期待し難い。
 (4) 被告人Dは、怠惰な性格で、反社会性が顕著であり、中学三年時には、
家庭内暴力、怠学、家出等のため、虞犯少年として保護観察処分に付されたほか、
折りたたみ式ナイフの所持及び出身中学で投石し窓ガラスを割るなどしたことで不
処分になった非行歴等もある。また、凶暴な性癖を有し、Eの殺害行為にも積極的
に関与し、同被告人の行為がEの死亡に大きく寄与したものと認められ、刑責は重
大である。しかも、原審公判では、不合理な弁解をして自己の保身に窮々としてお
り、反省の情が全くみられない。原判決は、「Dは一連の犯行への加担度は最も低
く、精神的な未熟度が甚だしく、これは恵まれない家庭、いじめを受けながら解決
策を提示しなかった学校等の他律的要因が深く関わっており、予想外の過激な攻撃
も未成熟な人格に深く根づいている」と判示するが、同被告人が非行に走ったの
は、怠惰な性格と根気のなさ、意思の弱さなど主として自己自身に起因するのであ
って、これを、家庭環境とか学校に転嫁すべきものではない。また、原判決は、母
が今後の監護を誓約していることを挙げているが、同被告人は、母との接見を拒ん
でおり、今後とも母の監督は期待できない。
 以上のとおり、原判決は、被告人らの量刑判断を誤り、不当に軽い量刑をしたも
のであり、到底破棄を免れない。
 三 被告人Bの弁護人の量刑不当の主張
 所論は、要するに、以下のように主張する。
 1 少年法は、その第一条において、同法が少年の健全な育成を期するものであ
ることを定めているが、右は、憲法二六条の教育を受ける権利の背後にある観念、
すなわち国民各自が、一個の人間として、また、一市民として成長、発達し、自己
の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に自
ら学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に
施すことを、大人一般に対して要求する権利を有することなどに裏打ちされたもの
で、この理念は、保護処分のみでなく、少年の刑事処分においても最大限に尊重さ
れなければならない。そのため、法は、少年の刑事事件全般について、できる限り
科学的かつ教育的な考慮に基づいて事件を取り扱おうとしており、このことは、少
年の刑事事件において実体面、手続面にわたり設けられている少年法、刑訴規則の
諸特則に如実に表れている。したがって、少年の刑事事件における量刑に当たって
は、少年の可塑性ないし教育可能性に照らし、あくまで犯罪に伴う道義的責任の範
囲内において、少年の福利を重視しつつ処分を選択すべきで、行為ないし結果の重
大性や社会的影響の大小によって処分を決めるべきものではない。
 原判決の被告人Bに対する量刑は、右のような観点からすると、同被告人のEに
対する未必の殺意を認めたうえ、全体として同被告人の行為に最も比重をおいて量
刑判断をした点において、不当なものである。
 2 すなわち、原判決は、被告人Bについて、同被告人が被害者に加えた暴行を
認定したうえ、暴行の過程で未必的殺意が生じたことを肯認できるとしているが、
右の認定には疑問がある。すなわち、
 (1) 殺意を認めるためには、殺人罪の構成要件の規範的要素として、自己の
行為及びその結果、並びにその間の因果関係のすべてにつき、それが人の死を生ぜ
しめる危険を有していたことを認識していたことが必要であるところ、原判決は
「Eにこのまま暴行を加え続ければ、死んでしまうかもしれないという考えが生ず
るに至ったものと推認するのに、矛盾はなく」と判示するのみで、右の点について
は判断を加えていないのに等しい。
 (2) 故意については、認容説が通説、判例であるのに、原判決は、被告人B
が被害者の死亡を認容していたか否かについては何ら認定しておらず、判例違反を
免れない。
 3 また、原判決は、被告人Bが、共犯者中で被告人Aに次ぐ地位にあったと判
示するが、右は、同被告人が原審公判で、「CとかDといるときは、僕がリーダー
で、AがいるとAが全部決めて僕は何もしなくなる」旨供述した以上のものでな
く、本件一連の犯行において、被告人Bが、ナンバーツーとして被告人Aの命令を
被告人C、同Dに伝達したり、その間を、積極的に仲立ちする面があったというものではない。また、原判決は、被告人Bが、集団内における調整役を務めたとも判
示するが、それは、同被告人と被告人C、同Dらが形成していた緩いグループの中
に被告人Aが加わったというグループ形成の経緯に関するもので、集団内における
心理的なものに過ぎず、神経症的性格構造を形成し、情性欠如を有する発達障害が
あり、他者への依存度が高いなどの屈折した精神状態にあった被告人Bが、共犯少
年らの関係を意図的に調整することなどあり得ない。また、原判決は、被告人B
が、他の共犯少年らの模倣を誘ったとも判示するが、被告人Aが同Bを含め共犯者
ら三名の模倣を誘ったというべきである。
 4 原判決は、「本件の発端においては、BがAからの相談に乗った」旨判示す
るところ、右は、「Aがホテルからかけた電話ないしI公園における会話で、B
が、女を帰さないで下さいとか、さらってしまおう、などと言った」旨の認定に符
合するものであるが、右認定は、被告人Aが、被告人Bを自分と同格の立場にあっ
たとして、本件の発端を同被告人の発言に求め、責任の半分を同被告人に負わせよ
うとし、あえて事実を歪曲して供述したことを看過したもので、事実誤認である。
 5 また、被告人Bは、本件に至るまではさしたる保護処分歴はなく、同被告人
の性格上の問題点も、家族ら周囲の者が同被告人を受容することによって、改善す
ることがほぼ確実に見込まれ、更に、同被告人は、本件後、反省を深め、人間的成
長を遂げている。原判決は、同被告人の右のような個別的情状を不当に低く評価し
て量刑したものである。
 以上の諸事情を考えれば、被告人Bを懲役五年以上一〇年以下に処した原判決の
量刑は、著しく重過ぎて不当である。
 なお、被告人Bは、原判決後、本件に対する反省をいっそう深化させ、規範意識
を高め、被害者やその家族に対する悔悟の気持ちが深まり、他者に対する愛情が発
達し、共犯少年らに対する理解が生まれ、勉学の意欲と自己洞察力も発達してき
た。このことは、同被告人の弁護人に宛てた多くの書簡の内容からも明らかに看取
することができる。同被告人の勉学の意欲は、同時に更生への意欲にも結び付くも
のである。同被告人の両親と姉は、同被告人への面会を続け、同被告人との精神的
な絆を取り戻している。両親は、原判決後も、乏しい収入の中から、将来の被害弁
償に備えて積み立てを続けている。同被告人の量刑に当たっては、このような、原
判決後の事情を考慮されるべきである。
 四 被告人Cの弁護人の量刑不当の主張
 所論は、要するに、以下のように主張する。
 1 少年法五五条による移送の主張
 年少少年に対する刑事処分による科刑は、成人を想定した刑事施設で少年を処遇
することによる弊害が少なくないところ、被告人Cの非行性が深化したのは、本件
各犯行当時の数か月のことであり、それも年上の共犯者らの影響によることが大き
く、また、原判決も、同被告人について、年齢に比較して著しく未熟、未分化な精
神状態で、その可塑性は年齢相応に想定されるなどと判示しているように、同被告
人は可塑性に富み、保護処分によって矯正することが妥当である。
 同被告人は、原判示第四の二件の強姦及び第五の傷害等を内容とする非行事実に
より中等少年院へ送致され、その在院中に本件一連の犯行が発覚したものであると
ころ、原判決は、そのことを同被告人に対し刑事処分が相当である理由の一つに挙
げるが、同被告人には、それまで、交通短期保護観察処分に付されたほか保護処分
歴はなく、中等少年院へ送致されて二か月後に本件が発覚したのであるから、保護
処分による更生が失敗したわけでもない。
 原判決は、本件が凶悪、重大な事件であることを刑事処分が相当である大きな理
由とするが、結果の重大性のみから、応報的な意味で刑事処分を選択することは誤
りである。原判決は、また、同被告人が、監禁場所の提供等発端において重要な寄
与をしたと認定するが、それが誤りであることは、事実誤認の主張の項で述べたと
おりである。更に、原判決は、同被告人について、「Aの指示を受けないでBとと
もに積極的・能動的に著しく度を越えた暴行を繰り返した」とか、「監禁過程全般
で、Bと共同して被害者に手ひどい暴行を繰り返した」等と認定しているが、同被
告人は、被告人Aの指示がない場面でも、被告人Bの指示により被害者に暴行を加
えたもので、単独で暴行を加えたことはない。被告人Cの暴行はあくまで被告人A
あるいは同Bの指示によってなされた追従的なものである。
 また、原判決は、被告人Cについて、「殺害についての関与も重大で、被害者の
気持ちを全く思いやらない無慈悲、冷淡な態度が際立っている」旨判示し、刑事処
分が相当である理由の一つとする。 同被告人が、暴行の過程において、時に積極的行動をとっていることは否定でき
ないが、それは、被告人Aの主導で行われた集団的暴行の雰囲気に引き込まれて行
ったに過ぎず、被告人Cが無慈悲、冷淡な態度をとったというのも、同被告人の著
しい精神的、人格的未熟性の故であることを考えると、同被告人に対しては、保護
処分が相当であることが明白である。
 更に、原判決が認定するように、犯行後、同被告人が、人間性に目覚めた成長を
遂げ、罪の責任の自覚を深め、両親も被害者らに対する陳謝の念を示し、監督、監
視の至らなかったことを反省し、同被告人と共に一生をかけての贖罪を誓っている
ことなど、本件犯行後の情状も考慮されなければならない。また、同被告人に対
し、その行為や結果の重大性など自己の責任を自覚・涵養せしめるためにも、収容
期間を弾力的に運用することができ、個別的処遇が可能である保護処分が妥当であ
ることが明らかである。
 以上要するに、少年の犯した犯罪が重いから、処分もそれに見合って重くしなけ
ればならないという考えは、少年法の目的に照らして許されず、同被告人について
は、保護処分が相当であり、同被告人の事件を東京家庭裁判所に移送すべきである
のに、同被告人に対し刑事処分を科した原判決には、量刑不当がある。
 2 原判決の量刑が重過ぎて不当である旨の主張
 原判決は、被告人Dを懲役三年以上四年以下に処しながら、同被告人より一年年
少であり、可塑性に富む被告人Cを懲役四年以上六年以下に処したが、前項におい
て述べた諸事情、とりわけ被告人Cは、あくまで追随的に犯行に及んだものである
こと、被告人Dとの刑の均衡などを考慮すると、被告人Cに対する原判決の量刑
は、重過ぎて不当である。
 なお、原判決後、同被告人の両親が贖罪のため、私財を投じて資金を捻出し、こ
れを被害者の遺族に提供する用意をし、また、同被告人の更生のため、保護環境改
善の努力を重ねていることなどを考慮されたい。
 第二 当裁判所の判断
 原審記録を調査し、当審における事実取調べの結果を合わせて、以下順次検討す
る。
 一 被告人らの身上、経歴について
 1 被告人A関係
 被告人Aは、昭和四五年四月三〇日、証券会社に勤務する父とピアノ教師をして
いた母の長男として東京都区内で生まれた。父母の確執などで家庭は円満ではなか
ったが、父は証券会社の営業マンとして成績をあげて高収入を得、母もピアノを教
えて相応の収入を得ていた。
 同被告人は、地元の小学校を経て、昭和五八年四月足立区内の中学校に入学し、
同校卒業後、昭和六一年四月都内の私立高校に柔道の特待生として推薦入学した。
小学校の当時から、万引き、学校内での器物損壊などの問題行動がめり、いわゆる
番長として他の児童を圧倒し、家庭内暴力で父が学校へ相談に行ったこともあった
が、中学時代は、柔道に打ち込み、出場した各大会で優勝、準優勝するなどして活
躍し、格別の問題行動もなく中学生活を送った。柔道の関係で入学した高校では、
練習が厳しく、先輩のいじめを受けたことなどから、入学した年の九月には柔道部
を退部し、翌昭和六二年三月には同校を退学し、自宅近くのタイル工業所に就職し
た。そのころ、暴走族に加わり、同年二月傷害、翌三月建造物侵入、暴力行為等処
罰に関する法律違反(学校荒らし)等、同年六月窃盗、建造物侵入、暴力行為等処
罰に関する法律違反(前同)等の各非行を犯し、同年七月保護観察処分に付され
た。
 その後は、暴走族をやめ、約一年間ほどは、保護観察の成績も良好で、タイル工
として真面目に働き、雇主からもその勤務ぶりを評価された。高校在学中交際を始
めた被告人Dの姉との結婚を夢見て、約二〇〇万円ほどの貯金もし、昭和六三年五
月には、長野県内の自動車教習所で合宿生活を送って運転免許を取得し、同年七月
父にねだり、新車(三五〇万円)を買ってもらった。しかし、同年八月ころから、
タイル工業所の給料が安いと不満を持ち、仕事を怠けるようになり、保護司の指導
も受け付けず、そのころ、中学時代の同級生を介して知った暴力団関係者に、一日
三万円になる仕事があるなどと持ちかけられて的屋の仕事を始め、以後、同人のも
とで偽のブランド商品の販売や街頭での花売り、同人の経営する花屋「J」の店
番、暴力団組事務所の当番などをするようになり、そのころからシンナーの吸引を
反復するようになった。
 2 被告人B関係 被告人Bは、昭和四六年五月一一日、東京都区内で生まれたが、父母の折り合い
が悪く、両親は同被告人の幼少時に別居し、同被告人は母の許で成育し、この間、
昭和五六年八月小学校四年時に一時父と同居したこともあったが、二か月後に再び
母の許へ戻った。地元の小学校を経て、昭和五九年四月足立区内の中学校に入学し
たが、スポーツに優れ、小学生のころから野球チームに所属し、中学校入学後は陸
上部にも所属した。中学校時代には、格別の問題行動は見られなかったが、昭和六
一年一月スキーで右足の複雑骨折をし、以後スポーツで活躍する場を失い、昭和六
二年三月中学校を卒業し、同年四月都内の私立高校に入学したものの、勉学の意欲
がなく、次第に怠学が多くなり、同年一一月除籍処分となった。その後一時電工見
習いとして働いた後、昭和六三年四月都立の定時制高校へ入学したが、二か月ほど
で登校意欲を失い、学籍はあるものの長期欠席の状態が続いていた。同年五月ころ
から、無為徒食の生活を続け、同年七月バイクの無免許運転の非行を犯し、同年一
〇月一四日交通短期保護観察処分に付されている。
 3 被告人C関係
 被告人Cは、昭和四七年一二月一六日、当時診療所の事務員をしていた父と看護
婦をしていた母の次男(長男はF、昭和四七年一月二一日生)として東京都区内で
生まれ、地元の小学校を経て、昭和六〇年四月足立区内の中学校へ入学した。小学
校在学中、恐喝、万引きなどの非行があったが、中学校進学後、母への暴言、暴力
が激しくなり、更に父にも反発するようになった。昭和六三年三月中学校を卒業
し、同年四月都立の化学工業系の高校へ進学したが、無断外泊、怠学、不良交友、
家庭内暴力等が激しくなり、同年九月には同校を退学した。同年夏ころから、同被
告人や兄Fの居室が不良交友仲間のたまり場となっていたが、両親は、暴力を振る
われ、なす術のない状況であった。なお、昭和六三年一一月一八日、自動二輪車の
無免許運転の非行で交通短期保護観察処分に付されている。
 4 被告人D関係
 被告人Dは、昭和四六年一二月一八日、東京都区内で生まれたが、父母は、昭和
五一年一〇月に別居したうえ、その二年後に離婚し、父は離婚後間もなく死亡して
おり、同被告人は、姉と共に母の手で育てられた。昭和六二年三月足立区内の中学
校を卒業し、同年四月都立の工業高校定時制に入学したものの、一週間で登校しな
くなり、同年九月同校を退学し、その後、何か所かで働いたことはあるが、いずれ
も長続きしなかった。この間、昭和六一年一〇月虞犯(怠学、家庭内暴力)の非行
により保護観察処分に付され、更に、昭和六二年六月虞犯事件により、昭和六三年
三月暴力行為等処罰に関する法律違反(学校荒らし)の非行により、それぞれ不処
分となっている。
 二 被告人ら相互の関係
 被告人らは、いずれも地元の同じ中学校の出身で、被告人Aが最年長で、被告人
B、同Dは、被告人Aの一学年下であり、被告人Cは、更に被告人B、同Dの一学
年下の関係にある。
 足立区○○×丁目×番×号所在被告人Cの父K方の二階の二室は、同被告人と兄
Fの居室に当てられていたが、両親が共働きで留守がちであったことや、同被告人
の家庭内暴力が激しく、両親もなす術のない状況であったため、前記のように、昭
和六三年夏ころから不良交友の仲間らのたまり場となっていた。
 被告人Bは、Fと同学年で、同年夏ころから頻繁にC方へ出入りするようにな
り、被告人Cは、Fを通じて被告人Bと親しくなった。また、そのころ、被告人D
も同学年の被告人B及びFらを通じてC方に出入りするようになった。一方、被告
人Aが、被告人Dの姉と親密な交際をしていたこと、被告人らは、同じ中学校の先
輩、後輩の関係にあったことなどから、かねて互いに見知っていたが、被告人A
が、同年一〇月ころ、Fの盗まれたバイクを探すのを手伝ったことから、同被告人
がC方に出入りするようになり、同被告人は、これを機に他の被告人らに急速に接
近し、同被告人を中心とした非行集団が形成された。
 被告人Aは、集団内において他の仲間を圧倒し、常に主導的、積極的役割をつと
め、優位性を誇示し、非行仲間らから恐れられる存在であった。また、被告人B
は、被告人Dと同学年であるが、受動的で、自発性に乏しく、能力的にも劣る被告
人Dや、年下の被告人Cに比べ、集団内の力関係では、被告人Aに次いで優位な立
場にあった。
 被告人B、同C、同Dらは、昭和六三年一一月から一二月ころにかけて、被告人
Aを通じて暴力団関係者と関わりを持つようになり、暴力団関係者の経営する前記
花屋「J」へ出入りし、その手伝いや暴力団組事務所の当番なども勤めるようになった。
 三 本件一連の犯行の概要について
 本件各犯行は、
 1 被告人ら四名が、共謀のうえ、昭和六三年一一月二六日女子高校生E(当時
一七歳)を猥褻目的で略取し、同日から昭和六四年一月四日までの間、Eを監禁し
(原判示第一の(1))、右監禁中の昭和六三年一一月二八日ころ、被告人ら四名
が、L、Gと共謀のうえ、Eを強いて姦淫し(原判示第一の(2))、昭和六四年
一月四日被告人ら四名が共謀のうえ、未必の殺意をもって、Eを殺害し(原判示第
二)、同月五日、被告人A、同B、同Cが、Fと共謀のうえ、Eの死体を遺棄した
(原判示第三)(なお、以上のE関係の一連の犯行については、後記四に詳述す
る。)ほか、
 2 被告人B、同Cが、Lらと共謀のうえ、昭和六三年一〇月二三日午前二時こ
ろ、路上に駐車中の軽乗用自動車一台(時価四〇万円相当)を窃取し(原判示第六
の一)、被告人A、同B、同Cが、Lと共謀のうえ、同月二六日午前零時三〇分こ
ろ、店舗内に窓ガラスを割って入り込み、ジャンパーほか一四四点(時価合計二〇
〇万五七五五円相当)を窃取し(原判示第六の二)、
 3 被告人A、同Bが、Cと共に、同年一一月八日午後七時過ぎころから、被告
人Aの運転する普通乗用自動車で姦淫の相手を探して走行中、午後八時ころ、自転
車で帰宅途中の当時一九歳の女性を認めるや、Cと共謀のうえ、被告人Aが自車を
幅寄せして自転車の進路を妨害して停止させ、被告人Bが、自転車の鍵を抜き取る
などして、同女を無理やり自車後部座席に乗せ、午後八時三〇分ころ、走行中の車
内において、被告人Aが、同女に対して、「aに行くか。それとも栃木の山奥へ行
くか」「俺は最近少年院を出てきたばかりだ」などと申し向けて同女を脅迫し、そ
の反抗を抑圧して、午後九時三〇分ころ、同女をホテルへ連れ込み、被告人A、
C、被告人Bの順に強いて同女を姦淫し(原判示第四の一)、
 4 いずれもEを監禁中の、同年一二月三日午後六時ころから午後七時五分ころ
にかけて、被告人A、同Bが、共謀のうえ、四回にわたり、自転車で通行中の女性
から、現金合計七万二三〇〇円及び物品二七点(時価合計約四万五八〇〇円相当)
をひったくり窃取し(原判示第六の三の1の(一)ないし(四))、同日午後九時
三〇分ころ、被告人Aが、自転車で通行中の女性から、現金約二万六〇〇〇円及び
物品六点(時価合計二〇〇〇円相当)をひったくり窃取し(原判示第六の三の
2)、同月五日午後八時三五分ころから午後九時三〇分ころにかけて、被告人A、
同Cが、Gと共謀のうえ、二回にわたり、自転車で通行中の女性から、現金合計約
一万九〇〇〇円及び物品二七点(時価合計九一〇〇円相当)をひったくり窃取し
(原判示第六の三の3の(一)、(二))、同月七日午前二時五〇分ころ、被告人
A、同Bが、共謀のうえ、自転車で通行中の女性から、現金約三万円及び物品合計
七点(時価約二〇〇〇円相当)をひったくり窃取し(原判示第六の三の4)、
 5 同じくEを監禁中の、同月二七日午前零時過ぎころから、被告人A、同B
が、C、Dと共に、被告人Aの運転する普通乗用自動車で、姦淫の相手を探して走
行中、午前二時三〇分ころ、帰宅途中の当時一九歳の女性を認めるや、C、Dと共
謀のうえ、同女を取り囲んで右自動車の後部座席に乗せ、しばらく走行した後に停
車した車内において、被告人Bが繰り小刀を左手に持ち、被告人Aが果物ナイフを
同女の膝付近に突き付け、「ここまで来れば分かるだろう。男と女のやることだ」
「先輩に女を連れてこいと言われたので、連れて行かなければならない。それが嫌
なら俺たちとやれ」などと申し向けて同女を脅迫し、その反抗を抑圧し、午前四時
ころ、同女をモーテルへ連れ込み、被告人A、同B、C、Dの順に、強いて同女を
姦淫し(原判示第四の二)、
 6 Eの死体遺棄の犯行の翌日である、昭和六四年一月六日午後一一時ころから
翌七日午前二時三〇分ころまでの間、被告人A、同Bが、Cと共謀のうえ、被告人
Aらにおいて、暴力団関係者の意を受けて結成しようとしたグループに、Gが入ら
なかったことなどに立腹して、同人に対し、手拳や椅子等で顔面、頭部、肩部等を
多数回殴打する暴行を加え、加療約四週間を要する全身打僕の傷害を負わせた(原
判示第五)、という事案である。
 四 E関係の事案の詳細について
 ところで、本件各犯行のうち、被告人ら四名共謀のうえなされた原判示第一の
(1)、(2)、第二のEに対する猥褻目的略取、監禁、強姦、殺人、被告人A、
同B、同Cら共謀のうえなされた同第三のEに対する死体遺棄の各事犯は、とりわ
け重大な事案であるばかりでなく、犯行期間も長期に及び、その経緯、態様も複雑であるので、以下に右一連の犯行の詳細を示すこととする。
 1 Eを猥褻目的で略取、監禁するに至った経緯
 被告人Aは、同Cと共に、昭和六三年二月二五日夕刻、通行人からひったくりを
し、あるいは若い女性を狙って姦淫をしょうとして、それぞれ原動機付自転車に乗
って、埼玉県三郷市内を徘徊中、自転車でアルバイト先から帰宅途中のEを認める
や、被告人Aが、被告人Cに「あの女、蹴飛ばしてこい」と指示し、これに従っ
て、同被告人が、Eもろとも自転車を蹴倒して側溝に転倒させ、その場を離れた
後、被告人Aは、なにくわぬ顔をしてEに近づき、言葉巧みに、「今、蹴飛ばした
のは気違いだ。俺もさっきナイフで脅かされた。危ないから送ってやる」などと申
し向けて、Eを信用させ、近くの倉庫内へ連れ込み、一転して「自分はさっきのや
つの仲間で、お前を狙っているやくざだ。俺は幹部だから俺の言うことを聞けば命
だけは助けてやる。セックスをさせろ」「声を上げたら殺すぞ」などとEを脅迫し
て関係を迫り、同日午後九時五〇分ころ、タクシーでEを原判示のホテルへ連れ込
み姦淫した。
 被告人Aは、同日午後一一時ころ、右ホテルから、かねて被告人らのたまり場に
なっていた被告人Cの家へ電話し、被告人Bに「狙っていた女を捕まえてセックス
した」などと話したが、同被告人が「女を帰さないでください」などと言ったこと
から、同被告人と待ち合わせることとし、同被告人や、被告人Aとはぐれて帰宅し
ていた被告人C、同被告人方にいた被告人Dの三名が、連れ立って約束の待合わせ
場所へ赴き、被告人A及び同被告人の連行するEと合流した。
 被告人Aは、被告人Bらに「やくざの話で脅かしているから、話を合わせろ」な
どと言い含め、被告人らはEを連れて、翌二六日午前零時三〇分ころ、原判示のI
公園へ赴いた。同所で、被告人Aは、ジュースを買いに行くという名目で、被告人
C、同D及びEのいる所からやや離れた自動販売機の置かれた場所付近に、被告人
Bと共に行き、同被告人に「あの女どうする」と尋ねると、同被告人が「さらっち
ゃいましょうよ」などと言ったことから、同被告人と意思相通じて、Eを猥褻目的
で略取、監禁することとした。
 更に、被告人ら及びEは、同公園から被告人Cの自宅近くの下の公園に移動した
が、この間、被告人Cは、被告人A、同Bらの意を受けて、Eを自室に監禁するこ
とについて了承し、被告人Dもそれまでの成り行きから、被告人Aらの意図を了解
し、かくて、被告人ら四名は、Eを猥褻目的で略取、監禁することについて順次共
謀を遂げ、被告人Aにおいて、Eに対し、「お前は、やくざに狙われている。仲間
がお前の家の前をうろうろしているから匿ってやる」などと虚偽の事実を申し向け
て脅迫し、被告人ら四名でEを被告人Cの自宅二階六畳間居室へ連行し、同日から
昭和六四年一月四日までの間、同所にEを監禁した。
 2 Eの監禁中になされたEに対する強姦の犯行及び右監禁中の被告人らの行為
等について
 前記の経過で、Eを被告人Cの自室に連行した後、被告人らはEを交替で監視す
ることとしたが、同月二八日ころの深夜、被告人らのほか、不良仲間のL、Gが被
告人Cの居室にたむろしていた際、被告人Aは、仲間らにEを輪姦させようと企
て、他の被告人らや、右L、Gらと意思相通じ、こもごも覚せい剤を飲み半狂乱に
なったように装い、Eに襲いかかり、必死に抵抗するEの口や手足を押さえ付け、
Eに馬乗りになるなどの暴行を加えて、その反抗を抑圧し、Eの着衣をはぎ取り、
被告人Aが、他の被告人らやL、Gらにも裸になれと命じ、これを受けて被告人
A、同B以外の者は着衣を脱ぎ捨て、G、L、被告人Dの順に強いてEを姦淫し、
その際、被告人Aは、剃刀を持ち出してEの陰毛を剃り、更に、その陰部にマッチ
の軸木を挿入して火をつけるなどの凌辱に及び、Eが熱がるのを見て被告人らで打
ち興ずるなどした。
 同年一二月上旬ころ、Eが逃走を試み、警察への通報を図ったことに腹を立て、
被告人A、同B、同CがEの顔面を手拳で多数回にわたり殴打し、被告人AがEの
足首にライターの火を押し付け、火傷を負わせるなどした。被告人らは、この後
も、時に、その不良仲間を加えるなどして、Eを全裸にしてディスコの曲に合わせ
て踊らせたり、自慰行為を強要したり、Eの顔にマジックペンで髭を描いて興じた
り、Eの陰部に鉄棒を挿入して何回も出し入れしたり、肛門に瓶を挿入したり、ま
た、シンナーを吸引させ、ウイスキー、焼酎などの一気飲みを強要し、寒気の厳し
い夜中、Eを半裸体でベランダに出し、牛乳、水などを多量に飲ませ、煙草を二本
一度にくわえさせて吸わせるなど度重なる暴行、凌辱を繰り返した。
 同月中旬から下旬にかけてのころ、被告人AがEのこぼした尿を踏んだということを口実に、被告人B、同Cにおいて、Eの顔面等を手拳で多数回にわたり殴打
し、Eの顔面が腫れ上がり変形したのを見て、同被告人らは、「でけえ顔になっ
た」などと言って哄笑した。右暴行の場には、被告人Aはいなかったが、翌日、被
告人Cは、「あんまり面白いからAにも見てもらおう」などと言って、自慢気に、
被告人AにEの顔を見せた。被告人Aは、その変りように驚いたものの、自らも、
これに触発されたように、Eを多数回殴打するとともに、太腿部、手のE等に揮発
性油を注ぎライターで点火し、火が消えると更に同様の行為を繰り返し、Eに火傷
を負わせた。このころ、Eは、度重なる暴行に耐えかねて、「もう殺して」などと
哀願することもあった。
 被告人Aらは、同月中旬ころから、主にFにEの監視役をさせるようになった
が、そのころからEは少量の食物しか与えられず、更に、同月末ころには、わずか
の牛乳を与えられる程度になり、栄養障害と被告人らの度重なる暴行により、心身
ともに極度の衰弱状態に陥り、食欲も減退し、顔面は腫れ上り、手足等の火傷は膿
み爛れて異臭を放つなどし、階下の便所へ行くことも困難で、終日監禁場所である
被告人Cの居室で横臥している状況であった。
 3 Eに対する殺人の犯行について
 昭和六四年一月四日、被告人Aは、前夜来から当日早朝にかけて行った賭け麻雀
に大敗した後、被告人D方に赴いたところ、被告人B、同Cらが被告人Dと共に居
合わせた。被告人らは、同所でファミコンゲームなどをして遊んだが、被告人A
は、麻雀に負けた鬱憤をEへのいじめによって晴らそうと考え、「久し振りに、E
をいじめに行くか」などと言い出し、まず、被告人C、同Dを先に被告人C方へ行
かせ、若干遅れて被告人Bと共に自らも被告人C方へ赴いた。被告人らは、このよ
うにして相前後して、被告人C方に集まったが、Eは、被告人らの暴行等により変
形するほどに顔が腫れ上り、手足等の一部は焼け爛れて化膿し、栄養障害に陥り、
極度の衰弱状態で横臥していた。
 被告人A、同B、同Cは、午前八時ころから、被告人Cの居室において、Eに対
し、B羊羹を与え、これは何だと問い、被害者がB羊羹と答えると、何でBを呼び
捨てにするんだなどと因縁をつけ、再び同様の質問をし、EがB羊羮さんと答える
と、何で羊羮にさんをつけるんだなどと詰り、Eへのいじめを開始し、被告人A、
同B、同Cにおいて、Eに対し、顔面等を多数回にわたり手拳で殴打し、背部を足
蹴りするなどの暴行を加え、被告人A、同Bにおいて、被告人Aがいじめの小道具
に買い求めていた蝋燭に点火し、Eの顔面に蝋を垂らして、顔一面を蝋で覆いつく
し、両眼瞼に火のついたままの短くなった蝋燭を立てるなどして打ち興じたが、E
は、これに対して、ほとんど反応を示さず、されるがままになっていた。被告人D
は、右暴行の始め、Fと共に隣室にいたが、このころ被告人Aの指示を受けた被告
人Cに呼ばれて、同被告人の室へ入り、他の被告人らと合流した。被告人Aは、衰
弱して自力で階下の便所へ行くこともできないEが、飲料パックに排出した尿のこ
とについて、わざと、「やばいよ、そんなものを飲んじゃあ」などと言って、被告
人B、同Cらに対し、暗にEに右尿を飲ませるよう示唆し、これを受けて被告人
B、同Cらは、Eに、飲めと強く言って、右パック内の尿をストローで飲ませた。
次いで、被告人B、同Cが、Eの顔面を回し蹴りし、Eが倒れると無理やり引き起
こして、更に蹴りつけるなどしたところ、Eが何ら身を守ろうとしないうえ、不意
に転倒して室内のステレオにぶつかり痙攣を起こすなどした。
 被告人らは、遅くとも、このころまでには、このまま暴行を加え続ければEが死
亡するかも知れないことを認識したが、その後も、Eが死に至ることの危険を認識
しながら、被告人B、同Cにおいて、転倒したEを殴打し、蹴りつけるなどしたの
を始めとして、更に、Eに対し、以下のような激しい暴行を加え続け、そのため、
Eは鼻口部から出血し、崩れた火傷の傷から血膿が出、血が室内に飛び散るなど凄
惨な状況となった。
 被告人Dは、素手では、血で手が汚れると考え、ビニール袋で拳を覆い、ガムテ
ープでこれを留めたうえ、手拳でEの腹部、肩などを力まかせに数十回強打し、被
告人A、同B、同Cらもこれに倣って、拳をビニール袋で包み、次々にEの顔面、
腹部、太腿部等を手拳で殴打し、足蹴りするなどし、更に、被告人Aが、鉄球を含
む総重量が約一・七四キログラムもあるキックボクシング練習器の鉄製脚部を持ち
出し、その鉄球部分でゴルフスイングの要領でEの太腿部等を力まかせに多数回に
わたり殴打し、被告人B、同C、同Dらも、これに倣ってこもごもEの太腿部等を
右鉄球で数十回殴打し、被告人Dは、肩の高さから右鉄球をEの腹部めがけて二、
三回落下させた。被告人Aは、繰り返し揮発性油をEの太腿部等に注ぎ、ライターで火を点けるなどしたが、Eは、最初は手で火を消そうとするしぐさをしたもの
の、やがて、ほとんど反応を示すこともなくなり、ぐったりとして横臥したままに
なった。
 右の一連の暴行は、当日の午前八時ころから同一〇時ころまで、約二時間にわた
って間断なく続けられた。このようにして、被告人らは、Eに原判示のとおりの重
篤な傷害を負わせ、そのころから、同日午後一〇時ころまでの間に、原判示の経過
で、Eを死亡させて殺害した。
 4 死体遺棄の犯行について
 被告人A、同B、同Cは、同月五日、被告人らが出入りしていた暴力団関係者の
経営する花屋「J」にいた際、FからEの様子がおかしいとの電話連絡を受けて、
被告人Cの居室へ赴き、Eが前記の暴行により死亡していることを知ったが、犯行
の発覚を恐れ、同日午後六時ころ、Fと共謀のうえ、死体を遺棄しようと企て、E
の死体を毛布で包み、大型の旅行鞄に入れてガムテープを巻きつけ、被告人Aが、
かつての仕事先から貨物自動車を借り出したり、セメントを貰い受け、近くの建材
店から砂やブロックを盗み出し、右自動車でEの死体と付近で取ってきたごみ入れ
用のドラム缶を同被告人方前に運び、同所でコンクリートを練りあげ、Eの死体の
入った鞄を右ドラム缶に入れたうえ、コンクリートをドラム缶に流し込み、更にブ
ロックや煉瓦を入れて固定し、ドラム缶に黒色ビニール製ごみ袋を被せ、ガムテー
プで密閉した後、被告人A、同B、同Cが、同日午後八時ころ、右ドラム缶を積載
した貨物自動車で、原判示江東区内の工事現場横の空地へ至り、同所に右ドラム缶
を投棄し、Eの死体を遺棄した。
 五 被告人Cの弁護人の事実誤認の主張及び被告人Bの弁護人の量刑不当のうち
殺意に関する主張について
 1 被告人Cの弁護人の事実誤認の主張1について
 関係証拠によれば、前記のとおり、被告人らがEを猥褻目的で略取、監禁する過
程で、被告人Cにおいて、自室を監禁場所として提供することを承諾し、同被告人
を含む被告人ら全員が右犯行について、順次共謀を遂げたこと、被告人Cが、他の
被告人らと共にEを同被告人の居室へ連行し、被害者を略取する実行行為に関与し
たことは、いずれも優に認めることができる。以下、若干付言する。
 被告人Cは、自分は、被告人Aからの電話で被告人B、同Dらと約束の待ち合わ
せ場所へ赴き、Eを伴った被告人Aと一緒になったが、その後、友人から借りて乗
っていた原動機付自転車を返しに行き、そこで酒を飲むなどし、その後の記憶はは
っきりしないけれども、そのまま他の被告人らのもとへは戻らなかった。翌朝一〇
時ころかに、自宅へ戻ったら、Eが自分の居室にいたなどと供述する。
 しかし、前記のとおり、そもそも、被告人Cは、同Aの指示を受け、自転車で帰
宅途中のEを自転車もろとも蹴飛ぱして本件に発端から関与し、その際は、いった
ん被告人Aと別れたものの、他の被告人らと自室でたむろしている際、被告人Aか
ら電話がかかったときには、同被告人が未だEを確保していることを知って、被告
人B、同Dと同様、被告人Aが自分たちにEをあてがい、姦淫させてくれるのでは
ないかという期待を抱いて、被告人Aとの待ち合わせ場所に赴いているのであっ
て、その後、Eが被告人Cの居室へ連行されるまでの過程で、被告人Cが事の成り
行きを見極めようともせず、他の被告人らやEと別れて別行動をとり、自宅へも直
ぐに戻らなかったということ自体、甚だ不自然であり、当夜の一連の事態の推移、
その過程で同被告人の果たした役割、そもそもEの連行場所が、同被告人自身の居
室であることなどの事実に加え、被告人A、同Bらの各原審公判供述中の関係部
分、Fの検察官に対する供述調書を含む原判決挙示の関係証拠を合わせ考えれば、
Eが被告人Cの自室に連行されるまでの間に、被告人らのたまり場になっていた右
自室へEを略取、監禁することについて、被告人Cと他の被告人らとの間で合意、
了解がなされ、被告人Cが他の被告人らと共にEを自室へ連れ込んだことはこれを
認めるに十分であり、右に沿わない被告人Cの関係各供述部分は信用することがで
きないから、原判決に所論の事実誤認があるとはいえない。論旨は理由がない。
 2 被告人Cの弁護人の事実誤認の主張2及び被告人Bの弁護人の量刑不当のう
ち殺意に関する主張について
 関係証拠によれば、前記のとおり、被告人C、同Bにおいて、被告人A、同Dと
共謀のうえ、Eに対し、未必の殺意をもって原判示の暴行を加え、Eを殺害したも
のであることは、優にこれを認めることができる。以下、若干付言する。
 (1) 関係証拠によれば、前記のとおり、Eは、昭和六四年一月四日以前の段
階で長期間にわたり監禁され、その間に、被告人らから度重なる強度の暴行を受けて顔面、手足等多数箇所に受傷し、前年の一二月中旬ころからは、食物も満足に与
えられなかったことや、衰弱に伴う食欲の減退等により、極端な栄養障害に陥り、
同月下旬ころには、自力で階下の便所へ行くことも困難な程で、極度の衰弱状態に
陥っていたことが明らかである。
 (2) そして、昭和六四年一月四日当日、被告人らは、前記のように極度の衰
弱状態にあったEに対し、顔面等を多数回にわたり手拳で殴打したり、回し蹴りし
たりし、更に、顔面、腹部、太腿部等をビニール袋で覆った手拳で殴打し、足蹴り
するなどし、前記のような重量のある鉄球で太腿部等を力まかせに多数回にわたり
殴打し、揮発性油を太腿部等に注ぎ、ライターで火を点けるなどの暴行を加えてい
るところ、その間、Eは、被告人らの加害行為に対し殆ど反応を示さなくなり、被
告人らのなすがままになっていたこと、右暴行は、約二時間にわたり、何ら手加減
することなく行われた強度のものであることが認められ、前記のように、Eが、す
でに極度の衰弱状態にあったこと、執拗で凄まじい暴行の態様、これに対するEの
反応振りなどの諸状況に照らせば、被告人らの右暴行の過程で、Eが客観的に生命
の危殆に瀕する状況に陥ったことが明らかである。
 (3) ところで、右のような暴行が行われている過程で、被告人らにおいて、
Eの死の危険を認識するに至ったことは、被告人らが捜査段階で共通して供述して
いるところであり、被告人Aの原審公判供述によれば、右暴行の終りころ、及び右
暴行終了の直後、被告人らが連れだってサウナへ出かける途中、被告人Aが、しき
りに他の被告人らに対し、Eが死ぬのではないかと話していたことも認められる。
右各供述は、前記のような客観的状況に沿い、極めて自然で合理的なものであり、
十分信用することができる。
 そして、本件の経緯から考えて、被告人らに、右一連の暴行の当初の段階から、
Eに対する具体的な殺意があったとは認められないが、暴行を継続する過程で、遅
くとも、被告人B、同Cにおいて、Eの顔面を回し蹴りし、Eが倒れると無理やり
引き起こして更に蹴りつけるなどした際、Eが何ら身を守ろうとしないうえ、不意
に転倒して室内のステレオにぶつかり痙攣を起こすなどした段階では、被告人らに
おいて、Eの死の危険を認識するに至ったものと認めるに十分であるところ、被告
人らがその後も、Eの死の危険を顧慮することなく、あえて、Eに対し、執拗、強
度の暴行を加え続けたことが明らかで、被告人C、同Bを含む被告人らが、意思相
通じて、Eに対し未必の殺意をもって原判示の暴行を加え、Eを殺害したことに疑
いを容れる余地はない。
 (4) 被告人Cの弁護人は、同被告人は、その発達過程において人の死の危険
性についての合理的判断能力を形成し得ていなかったため、被害者が死に至る危険
な状態にあるという事実そのものを認識していなかったなどと主張する。しかし、
同被告人が、精神的に未成熟であることが認められるとはいえ、同被告人の知能は
平均よりやや低い程度で格別問題はなく、これまでに非行や問題行動があるとはい
え、それなりに社会生活を送ってきた同被告人の事実認識の能力そのものが格段に
劣る訳ではなく、同被告人が、前記の客観的諸状況を認識しながら、Eの死の危険
を認識し得なかったとは到底認められない。その他、同被告人の弁護人は、原判決
の判示部分の一部をとらえて、種々論難するけれども、いずれも理由がなく、採用
することはできない。
 (5) 被告人Bの弁護人は、原判決は、故意について認容説をとっていないな
どとして、原判決には判例違反があるというのであるが、原判決は、「罪となるべ
き事実」の第二において、「被告人ら四名は、このまま暴行を加え続ければあるい
はEが死亡するに至るかもしれないことを認識しながら」「あえて」その後も、原
判示のとおりの暴行を加えた旨判示し、被告人らにおいて、被害者が死亡するに至
るかもしれないことを認識し、かつ、これを認容していたことを明確に判示してい
るのであり、所論は原判決の判示部分の一部をとらえ、原判決を論難するものに過
ぎない。同被告人の弁護人の殺意に関するその他の所論を検討しても、原判決の認
定に誤りはなく、所論は採用の限りではない。
 以上のとおり、論旨はいずれも理由がない。
 六 検察官並びに被告人Bの弁護人(ただし、殺意に関する主張部分を除く。)
及び同Cの弁護人の各量刑不当の主張について
 1 少年犯罪と刑事処罰のあり方について
 (1) 被告人らは、本件各犯行当時、被告人Aにおいて一八歳、同Bにおいて
一七歳、同Cにおいて一五歳ないし一六歳、同Dにおいて一六歳ないし一七歳で、
いずれも少年であったものであり、被告人C、同Dは、現段階においても、未だ少年である。
 <要旨>(2) そこで、所論の当否を検討するに先立ち、ここで、現に少年であ
り、あるいは、犯行当時少年であったも</要旨>のに対する刑事処罰のあり方につい
て、当裁判所の見解を示しておくこととする。
 まず、少年については、その健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の
矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特
別の措置を講ずること等を目的として少年法が設けられ(同法一条)、犯罪少年
は、すべて家庭裁判所の調査、審判に付されたうえ、原則として保護処分をもって
その教化改善を図ることとされているが、調査又は審判の結果、死刑、懲役又は禁
錮にあたる罪の事件について、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認め
るときは、家庭裁判所は、これを検察官に送致すべきものとされ(同法二〇条、二
三条)、検察官は、右のようにして送致を受けた事件について、公訴を提起するに
足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならないものと
されている。
 そして、その結果、少年に対し刑事処分をもって臨むのが相当とされる場合であ
っても、死刑、無期刑の緩和(同法五一条)、不定期刑の採用(同法五二条)な
ど、成人事件とは異なる特別の規定が設けられており、また、検察官に送致のう
え、刑事裁判所に公訴が提起された場合であっても、少年の被告人を保護処分に付
するのが相当であると認めるときは、事件を家庭裁判所に移送しなければならない
ものとされている(同法五五条)など種々の配慮がなされており、少年の刑事事件
の審理、量刑に当たっては、これらの点を慎重かつ十分に考慮しなければならな
い。
 少年犯罪に関する手続構造は、以上のとおりであるが、このことは、少年に対し
ては、成人に比べて、常に、一律に軽い量刑をもって臨めば足りるということを意
味する訳のものではない。犯罪の内容が重大、悪質で、法的安全、社会秩序維持の
見地や、一般社会の健全な正義感情の面から、厳しい処罰が要請され、また、被害
者の処罰感情が強く、それが、いたずらな恣意によるものではなく、十分首肯でき
るような場合には、それに応じた科刑がなされることが、社会正義を実現される所
以であり(少年法も、前記のとおり、罪を犯すとき一八歳に満たない者に対する死
刑、無期刑の緩和を定めながら、罪を犯すとき一八歳以上の者に対しては、そのよ
うな緩和規定を設けていない。)、そこにも犯罪少年の処遇を国の司法機関である
裁判所に委ねた大きな意義があるものといわなければならない。
 これを看過して、少年に対し、以上の諸観点から遊離した著しい寛刑をもって臨
むのは、一般社会の刑事司法に対する信頼を揺るがせるばかりでなく、少年に対
し、自己の罪責を軽視させ、いたずらに刑事処分に対する弛緩した意識を抱かせる
など、少年自身の更生のためにも適当とは思われない。また、刑罰といえども、一
般予防的、応報的側面ばかりでなく、受刑者の教化改善、更生を図ることが重要な
目的とされているのであって、当該少年の特性を配慮しつつ、事案にふさわしく社
会感情にも適合した量刑がなされ、その執行を進める中で、少年に自己の罪責に対
する反省と社会の一員としての自覚を促し、改善更生に努めさせることは、広く少
年法の理念に沿う所以でもある。
 少年犯罪に対する刑事処分の量刑に当たっては、以上のような諸点を考慮したう
えで、少年の未熟性、可塑性などその特性にも適切な考慮を加えつつ、事案の程
度、内容等と均衡のとれた科刑がなされるよう特段の配慮がなされるべきである。
 なお、ここで付言しておくと、以上に述べたところは、少年法二〇条、二三条の
検察官送致、並びに同法五五条の家庭裁判所への移送を決定するに当たっての相当
性判断の基準についても妥当するものというべきである。したがって、少年につい
ては、保護処分によっては矯正の見込みがないと考えられる場合にのみ刑事処分に
委ねるべきであり、およそ保護が可能である限り刑事処分を避けて保護処分を採る
べきであるとする見解には賛同できない。
 以下においては、このような観点にたって、原判決の被告人らに対する量刑の当
否について検討する。
 2 被告人らに共通する情状について
 本件一連の犯行の概要及びE関係の事案の詳細は、先に三、四で判示したとおり
であり、被告人らは、前記のとおり、被告人Aを中核とする非行集団を形成し、被
告人ら全員又はその一部の者が、時に他の不良仲間も加わるなどして共謀のうえ、
もしくは単独で、昭和六三年一〇月下旬から昭和六四年一月上旬にかけて本件各犯
行を重ねたものであるが、ここで、各事犯において被告人らにおおむね共通する情状について検討する。
 (1) E関係の犯行の情状について
 Eに対する猥褻目的略取、監禁、強姦、殺人、死体遺棄の事犯の内容は、先に四
において見たとおりで、Eの監禁中、被告人らによりなされた輪姦の犯行や、Eに
対する暴行、凌辱の数々の所為は、常軌を逸した異常、残忍、凶悪なもので、徹底
的にEを辱めて打ち興ずるなど、そこには人間性のかけらも見られない。
 更に、E殺害当日の犯行は、被告人らの度重なる暴行により、すでに、顔面は腫
れ上がって変形し、火傷は多数箇所にわたって膿み爛れるなどし、食物もほとんど
与えられないまま、衰弱しきって終日ただ横臥しているのみの状態にあったEに対
し、被告人Aを中心に、あたかも、被告人らが互いに、その残忍、凶悪さを競い合
うかのように、約二時間にわたり、執拗かつ強度の凄まじい暴行を加え続け、未必
の殺意をもってEを殺害したもので、その凄惨な犯行状況には、慄然とした思いを
抱かずにはいられない。そして、Eが死亡するや、犯行発覚を免れるため、その死
体をコンクリート詰めにするという異常な方法で空地に投棄するなど(ただし、被
告人Dは、右死体遺棄の犯行には関与していない。)、被告人らの本件一連の犯行
には、Eの人間としての尊厳に対する一片の配慮をも窺うことができない。
 被告人らは、Eを猥褻目的で略取してから殺害するまで、四〇日間にわたって被
告人Cの居室に監禁したものであるが、被告人らが、このように長期にわたる監禁
を意図していたものではないとしても、被告人らのたまり場になっていた被告人C
方に、Eを連行して監禁するという犯行態様それ自体、及びその後の事態の推移に
照らすと、そもそも、当初の段階において、Eを早期に解放するという考えが、被
告人らにあったとは認められない。また、監禁が長期化したのは、Eを解放するこ
とにより、犯行が発覚することを恐れ、更にはEの傷が重くなり衰弱が進んだため
その処置に窮した結果であるという面があるとしても、それは被告人らの手前勝手
な事情というべきである。そのうえ、被告人らは、Eに対する女性としての興味を
失った後も、ただ単にEの自由を拘束していたというのではなく、被告人らの暴
行、虐待等により、顔面が腫れあがり、火傷は膿み爛れるなど、醜く変ったEを疎
ましい存在と考えて、日常会話の中で、Eの死やその死体処理の話を交わすなどし
つつ、更に執拗、冷酷、残虐極まりない暴行、凌辱を加え続け、ついにEを殺害し
ているのであり、その間の経過に、被告人らに同情すべき点があるとは思われな
い。
 また、被告人Aが、暴力団関係者と接近し、他の被告人らも被告人Aを介して暴
力団関係者と関わりを持つに至ったことが、被告人らの生活環境を悪化させ、その
非行性をいっそう深化させたものと認められるけれども、たやすく暴力団関係者に
接近し、あるいは、その働きかけに応じて感化された被告人ら自身の責任も見過ご
すことができない。
 そして、被告人らが、犯行時いずれも少年であり、その資質、生育歴、家庭環境
等から、成熟度において劣るものがあったこと、Eに対する暴行、凌辱は、このよ
うな被告人らが、集団心理も加わって、互の行為に刺激され、影響され、虚勢を張
り合って、とりわけ激しいものになったという面があること、更には、世上に氾濫
する、乱れた性風俗や、殺伐な人命軽視の場面を興味本位に扱った、低俗で刺激的
なマスメディアの諸情報に、被告人らが無批判に汚染されていたであろうことなど
が認められるけれども、これらを理由として、その罪責を大幅に軽減するのが相当
であるとは認め難い。
 (2) Eの遺族の被害感情等について
 Eの両親は、昭和六三年一一月二五日以降、Eが帰宅しないまま連絡もないた
め、同月二七日警察へ捜索願いを出し、以後Eの無事を祈り続けたものであるが、
この間、被告人Aらは、同年一一月末から一二月一六日ころにかけて、三回にわた
り、Eに、「家出しているんだから捜索願いを出さないで」とか、「捜索願いを取
り下げて」などという電話を自宅にかけさせ、Eの所在を捜索されるのを阻止しよ
うとし、また、そのころ、被告人Cの母は、たまたま自宅にEがいるのを知って、
E方へ偽名で電話したが、Eの両親は、右偽名を頼りに諸所へ電話をかけるなどし
たものの徒労に終り、やがて、Eの所在についてこれといった手掛かりもなくな
り、心痛の日々を送っていた。そして、平成元年三月二九日、Eの死体が入れられ
たドラム缶がようやく発見されるに至り、翌三〇日父が検分した際には、Eの死体
は、腐敗して、すでに親でさえ、直ちにEと判別しがたいほどに変わり果ててい
た。Eの母は、悲嘆の余り、病に倒れ、今日においても、なお神経科に通院加療を
続けている状況である。 手塩にかけて育て上げてきた一人娘を卒然として手許から取り上げられ、不安焦
燥に居たたまれない長い日々を送らされた挙句、無惨にもEを殺害されるに至った
両親ら遺族の被害感情は、極めて厳しく、被告人らに対し、激しく厳罰を求めてお
り、Eの父は、当審証言においても、被告人らに対する原判決の科刑は余りにも軽
過ぎるとして、強い不信と不満の情を切々と吐露している。Eは、被害当時、卒業
を間近にした高校三年生で、すでに就職も内定し、将来への夢をふくらませていた
ものであるが、本件について、何らの落ち度もなく、たまたまアルバイト先からの
帰宅途中、被告人Aに目をつけられたことから、事件に巻き込まれ、被告人らから
長期間監禁され、堪え難い数々の暴行、凌辱を受け、遂に、凶悪、無残な犯行の犠
牲になり、春秋に富む若い生命を絶たれたもので、まことに、あわれというほかな
く、E自身の無念さはもとより、両親ら遺族の心情は察するに余りがあり、その被
害感情の厳しさは十分に理解することができる。
 (3) E関係以外の犯行の情状について
 E関係以外の各犯行は、被告人Aについて、Eに対する各犯行の前後及びその犯
行中になされた強姦二件、傷害一件、窃盗九件(うち、店舗荒らし一件、ひったく
り八件)の事犯、被告人Bについて、同じく強姦二件、傷害一件、窃盗七件(う
ち、自動車盗一件、店舗荒らし一件、ひったくり五件)の事犯、被告人Cについて
Eに対する各犯行の前及びその犯行中になされた窃盗四件(うち、自動車盗一件、
店舗荒らし一件、ひったくり二件。ただし、同被告人は強姦二件、傷害一件の犯行
にも共犯として関与しているが、すでに家庭裁判所の審判を経ているため、訴因と
されていない。)の事犯である(被告人Dは強姦一件の犯行に共犯として関与して
いるが、すでに家庭裁判所の審判を経ているため、訴因とされていない。)。
 これらの犯行は、被告人Aが、単独でした窃盗一件(ひったくり)のほかは、そ
れぞれの被告人が他の被告人や不良仲間らと共謀のうえ敢行したものである。
 各犯行の概要は、前記三記載のとおりであるが、当時一九歳の女性二人に対する
各強姦の犯行は、被告人Aが運転する自動車で、姦淫の相手を物色しながら走行
し、右被害者らを認めるや、無理やり右自動車に乗せ、脅し文句を並べたり、繰り
小刀や果物ナイフを突き付けるなどして、その反抗を抑圧してホテルやモーテルへ
連れ込み、被告人らや共犯者で順次輪姦したという、相手の人格を全く無視した、
自己本位の計画的で凶悪な犯行であり、各被害者に与えた心身の傷痕は深く、この
二件の強姦事件だけをとっても、その犯情は極めて悪質である。
 傷害の犯行は、被害者が被告人らの不良仲間であるが、被告人Aが暴力団関係者
から唆されて結成しようとしたM会なる下部組織に、被害者が加入しなかったこと
等に立腹し、被告人らが共同して被害者に対し、三時間余にわたり、一方的に執拗
で手酷い暴行を加え、加療約四週間を要する全身打僕の傷害を負わせ、更に、被害
者に「一〇〇万円で許してください。それができない場合は荒川へ入ります」など
という誓約書を書かせたりして荒川に連れ出し、厳冬の川中へ入らせるなどのリン
チを加えたもので、動機、態様とも悪質で、これまた、犯情は甚だよくない。
 各窃盗の犯行中、店舗荒らしの事犯は夜間の侵入盗で、被害額も時価合計二〇〇
万円余の多額であり、ひったくりの事犯は、夜間通行中の女性を対象に、バイクを
運転して近づき、その所持品を奪い取るという強盗まがいの大胆かつ危険なもの
で、しかも、連続的に犯行に及ぶなど、これら各事犯の犯情も悪質といわなければ
ならない。
 (4) 本件の社会的影響について
 本件が、不良仲間の少年らによって犯された、女子高校生に対する猥褻目的略
取、監禁、強姦、殺人、死体遺棄等の事件で、大都会の住宅密集地の少年の居室内
に長期間にわたって被害者を監禁し、暴行、凌辱をほしいままにした挙句に殺害し
たという、犯行態様において、凄惨、残忍を極め、そのうえ、死体をコンクリート
詰めにして投棄するなど、常軌を逸した異常かっ重大な事犯であったことから、世
人の大きな注目と関心を集め、これが一般社会に与えた衝撃は極めて深刻で、その
影響も甚大であり、本件量刑に当たっては、この点についても十分な配慮を要する
ものといわなければならない。
 3 被告人らの個別的情状及び被告人Cの弁護人の家庭裁判所への移送の主張に
ついて
 (1) 被告人Aについて
 被告人Aは、被告人ら四名中の最年長者であり、本件一連の犯行について、終
始、主導的地位にあったもので、E関係の各犯行にあっては、自転車で帰宅途中の
Eを認めるや、被告人Cに指示して、Eを自転車もろとも蹴飛ばさせ、犯行の発端を作り、Eをホテルに連れ込んで姦淫した後、被告人らのたまり場になっていたC
方へ電話して、他の被告人らを呼び出し、意思相通じてEを猥褻目的でC方へ略取
して監禁し、他の被告人らや不良仲間にEを姦淫させようと企てて、Eに対する輪
姦の犯行に及び、以後Eに対する手酷い暴行、凌辱の所為を主導的、積極的に行
い、凌辱行為の方法の多くも、被告人Aが案出し、E殺害の犯行も、その発端は、
同被告人が、麻雀に大敗した鬱憤ばらしに、Eをいじめようと考えたことから始ま
ったものである。
 その犯行態様が常軌を逸した異常かつ残忍なものであることは前記のとおりであ
るが、被告人Aは、右犯行の中心となり、自ら、あるいは他の被告人らを指示する
などして、積極的、主導的に犯行を遂行しており、死体遺棄の犯行も、被告人Aが
中心になって遂行したものである。その他、E関係の事犯と前後し、あるいはEの
監禁を続けている間に、被告人Aによってなされた強姦、傷害、窃盗等の各犯行に
ついても、同被告人が主導的にこれを遂行しているのであり、同被告人の果たした
役割、犯行態様、その危険性、被害者に与えた衝撃の程度、全体の犯行回数等を考
えると、E関係の各犯行と併せ、同被告人の犯情は甚だ悪質である。そして、同被
告人のこれまでの非行歴、暴力団関係者への接近状況、同被告人が、他の被告人ら
や不良仲間らに与えた影響などをも考えると、同被告人の罪責は、極めて重大であ
り、被告人四名の中でも、ひときわ抜きんでているというほかはない。
 なお、証人Hの原審公判供述、同人作成の鑑定書によれば、被告人Aには、脳の
器質的障害(早幼児期脳障害)があり、それが、同被告人の人格の偏りに影響を与
えていることが窺われるけれども、すでに、前記一の1で見たとおり、同被告人
は、中学時代には、柔道に打ち込んで、優れた成績をあけ、格別の問題行動もなく
三年間の中学生活を送り、また、本件一連の犯行が始まる三箇月位前まで、タイル
工業所で働いていた約一年間余は、真面目な働き振りを雇主からも評価されている
程であって、その他これまでの生活歴から窺われるところによれば、同被告人に脳
の器質的障害があったとしても、同被告人自身の自主的な努力によってこれを克服
し、正常な社会生活を送っている時期が多々あるのであるから、同被告人に脳の器
質的障害があることを過大視するのは相当ではない。
 他面、関係証拠によれば、同被告人は、昭和六三年夏ころないし遅くとも一〇月
ころから、シンナーを盛んに吸引するようになり、幻覚などの中毒症状がでて、本
件犯行後の平成元年一月一二百足立区内の病院で受診し、シンナー中毒と診断さ
れ、服薬治療を受けていること、同被告人がシンナーの吸引を止めた後において
も、なお、幻覚が消失しなかったことなどが認められ、同被告人のシンナー中毒の
症状はかなり重かったことが窺われるのであって、本件各犯行の直ぐ前から始まっ
た同被告人のシンナー吸引が、人格水準の低下を招き、本件一連の犯行に影響を及
ぼしたことも否定することはできない。
 一方、同被告人の両親が、五〇〇〇万円を贖罪のためEの遺族に提供したこと、
強姦の被害者中一名及び傷害の被害者との間で示談が成立していること、同被告人
が本件を深く反省し、弁護人の熱意を込めた厳しい指導を受け、文通、面会、読
書、写経等を通じ、原判決後もいっそう内省を深め、人間的成長の跡が相当に窺え
ることなど、同被告人のため斟酌できる事情もある。
 (2) 被告人Bについて
 被告人Bは、前記のとおり、被告人らの非行集団内における力関係では、被告人
Aに次ぐ立場にあったことが認められる。同被告人の弁護人は、原判決のその旨の
判示部分を論難するけれども、関係証拠によれば、前記のように、そもそも、被告
人らの非行集団が形成される過程で、被告人Aが右集団に加わる前は、被告人B
が、被告人Cや同Dに対して優位な立場にあり、集団内で中心的存在であったこと
が認められ、被告人Aが、右非行集団に加わった後においても、被告人Bが、被告
人C、同Dらに対する関係では、従前と同様の立場にあったことは、本件一連の犯
行遂行過程における被告人Bの言動、その果たした役割等からもこれを窺うに十分
であり、被告人B自身も、原審公判において、被告人Aがいないところでは、自分
がリーダーということになる旨供述し、集団内で被告人Aに次ぐ立場にあったこと
を自認しており、他の被告人らも、同様、これを窺わせる供述をしているのであつ
て、原判決の判示に誤りがあるとは認められない。
 また、被告人Bの弁護人は、Eに対する一連の犯行の発端において、被告人Bが
被告人Aの相談に乗ったことはなく、同被告人に対し原判決の認定するようなこと
も言っていないというが、関係証拠によれば、前記四の1で判示したとおり、被告
人Bが、被告人Aに対して積極的に被害者を略取することを提案したことなどもこれを認めるに十分であり、以上の認定に沿わない被告人Bの原審公判供述は採用で
きない。
 そして、本件一連の犯行において、被告人Aが、終始、主導的、中心的立場にあ
って行動したことは明らかであるが、被告人Bも、Eに対する各犯行において、被
告人Aのいない場面でも、前認定のとおり、被告人Cらと共に、Eに対し、積極的
に強度で執拗な暴行に及んでおり、被告人Bが、被告人Aに追従してした暴行、凌
辱の数々も、やむなく被告人Aの指示に従ったというようなものではなく、自ら積
極的な攻撃に及んでいるのであって、手加減をした節などは窺われない。
 被告人BがE関係の事犯において果たした役割、犯行の内容、同事犯の悪質重大
性などのほか、前記のとおり、被告人Bが、右以外の事犯においても、被告人Aら
と、悪質な二件の強姦及び傷害の各犯行に加わり、そこでも同被告人に次いで犯行
遂行上において重要な役割を果たしていること、更に、前記ひったくり等の窃盗事
犯を重ねていることなどを総合して考えると、被告人Bの罪責は、被告人Aに次い
で重大である。
 一方、強姦の被害者中一名及び傷害の被害者との間で示談が成立していること、
被告人Bの両親は、原判決後も、引き続きEの遺族に対する賠償金の積み立てを続
け、現在では一六一万円余に達していること(遺族は、現段階ではその受領を拒絶
している。)、同被告人が、本件を深く反省し、原判決後も、弁護人の熱心な指導
を受けて、勉学、読書、写経などを続け、いっそう内省を深め、成長の跡が相当に
窺えることなど、同被告人のため斟酌できる事情もある。
 (3) 被告人Cについて(家庭裁判所への移送の主張に対する判断を含む。)
 被告人Cの弁護人は、同被告人については、原判決を破棄したうえ、家庭裁判所
へ移送して、保護処分に付するのが相当であるとして、種々の主張をする。
 そこで、検討すると、すでに詳述したとおり、被告人Cの関与した各犯行中にあ
っても、Eに対する一連の猥褻目的略取、監禁、強姦、殺人、死体遺棄の事犯は、
常軌を逸した悪質重大な犯行であり、その社会的影響は甚だ大きく、また、被害者
の遺族の被害感情は極めて強く、現段階においても、全くそれが癒されていない。
そして、右一連の犯行においては、被告人Aが、他の被告人らに指示するなどして
主導的にこれを遂行したことは、前判示のとおりであるが、被告人Cにおいても、
単に被告人Aに指示されて、不本意ながら、これに従っていたというのではなく、
被告人Bと同様に、自ら積極的に犯行に関与し、被告人Aのいない場面において
も、被害者に対し、手加減なく強度の暴行を加えているのであって、被告人Cの罪
責は重大といわなければならない。しかも、先に見たように、同被告人は、小学校
当時から、恐喝、万引きなどの非行が始まり、以後その非行は収まらず、家庭内暴
力、怠学等を重ね、本件当時、同被告人の居室は非行集団のたまり場となり、被害
者に対する監禁、強姦、殺人等の犯行の場となったのであって、これに対する両親
の監督も全く及ばない状況であったのである。
 少年犯罪と刑事処罰のあり方について先に述べたところを踏まえて、これらの状
況を考えると、同被告人が、被告人らの中で最年少であり、本件犯行当時一五歳な
いし一六歳であったことなどを考慮しても、同被告人について、保護処分が相当で
あるとは到底認められず、所論は失当である。
 被告人Cについての、個別的情状は、右所論に対する判断中で記載したとおりで
あるが、原判決後、同被告人の両親が、自宅を売却し、その中から一〇〇〇万円を
Eの遺族への賠償金として提供するため積み立てていること(遺族は、現段階では
その受領を拒絶している。)、同被告人が、本件を反省し、原判決後も弁護人の熱
心な指導等により、内省を深め、勉学、読書、短歌などを通じて自省の日を送り、
成長の跡が相当に窺えることなど、同被告人のため斟酌できる事情もある。
 (4) 被告人Dについて
 被告人Dは、Eに対する一連の犯行(ただし、死体遺棄の犯行を除く。)につい
て、他の被告人らに比べれば、加担度は低く、いずれかといえば、追従的であった
ことが認められるけれども、おおむね、右各犯行に終始関与し、監禁中の見張り役
をしばしば受け持ち、Eに対する強姦の犯行の際には、E姦淫の実行行為に及んで
おり、更に、E殺害の犯行の際には、前認定のとおり、素手では、血で汚れるとし
て、ビニール袋で覆った手拳でEの腹部、腰部などを力まかせに多数回殴打した
り、他の被告人らに倣って、前記鉄球でEの太腿部等を多数回殴打したり、右鉄球
を肩の高さからEの腹部目がけて落下させるなどの凄じい暴行に及ぶなどしてい
る。
 また、同被告人には、前記のとおり、家庭内暴力等の虞犯事件により保護観察に付されたり、その後も、虞犯や暴力行為等処罰に関する法律違反の非行により二回
不処分とされるなどの非行歴があり、その生活態度も著しく不良であったことが認
められる。
 一方、同被告人は、本件当時一六歳ないし一七歳で、被告人Cに次いで年少であ
り、社会性の乏しさや未熟さがみられること、弁護人の努力もあって、現在では本
件をそれなりに反省し、自戒している状況が窺われるなど、同被告人のため斟酌で
きる事情もある。
 4 被告人らに対する量刑について
 (1) まず、先に、3の(3)において、被告人Cの弁護人の所論について判
断したとおり、同被告人を保護処分に付するのは相当でなく、また、被告人Dにつ
いても、これまで判示した諸事情を考慮すると、被告人Cと同様、保護処分に付す
るのが相当とは到底認められない。
 (2) そこで、次に、原判決の被告人らに対する量刑の当否について検討す
る。先に詳述したEに対する一連の犯行の常軌を逸した悪質・重大性、各被告人の
果たした役割、加害行為の態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響の大
きさ、その他記録に表れた一切の状況、被告人A、同Cについては、右のほか、そ
れぞれその関与した犯行の犯情の悪質性、その他の諸般の事情を総合して考える
と、前記の被告人らのために斟酌できるすべての情状を十分考慮してみても、被告
人Aを懲役一七年に、同Cを懲役四年以上六年以下に、同Dを懲役三年以上四年以
下に処した原判決の量刑は、著しく軽過ぎて不当である。
 しかしながら、被告人Bについては、先に述べたとおり、同被告人の犯情も極め
て悪質で、その罪責は重大であるが、被告人Bと同Aとでは、犯情において明らか
な差があり、被告人Bのために酌量できる前記の諸情状をも合わせ考慮すると、同
被告人について、無期懲役刑を選択して処断するのは相当でない。同被告人に対
し、有期懲役刑を選択したうえ、少年法五二条により、長期、短期とも少年に対す
る有期懲役刑の最高刑である懲役五年以上一〇年以下に処した原判決の量刑はやむ
を得ないもので、これが著しく軽過ぎて不当であるとはいえないとともに、重過ぎ
るともいえないしなお、被告人Bは、現在は、成人に達しているが、原判決の当否
を審査することを目的とする当審としては、原判決言い渡しの時点を基準としてそ
の当否を判断しなければならず、また、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反
するような原判決後の事情も存在しない。)。したがって、被告人A、同C、同D
についての検察官の論旨はいずれも理由があるが、被告人Bについての検察官の論
旨及び被告人B、同Cの各弁護人の論旨は、いずれも理由がない。
 よって、刑訴法三九七条一項、三八一条により、原判決中、被告人A、同C、同
Dに関する部分を破棄し、同法四〇〇条但書を適用して、更に判決することとし、
同法三九六条により、原判決中、被告人Bに関する本件各控訴を棄却することとす
る。
 七 被告人A、同C、同Dに関する自判
 被告人A、同C、同Dにつき、原判決が認定した罪となるべき事実に、原判決が
適用した法令(ただし、原判決五〇丁裏六行目及び七行目に「同法六〇条、二〇四
条、罰金等臨時措置法三条一項一号」とある部分は、「同法六〇条、平成三年法律
第三一号による改正前の刑法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号(刑法六
条、一〇条による。)」と改める。)を適用し(なお、原判決五一丁裏四行目に
「被告人Dの判示第一ないし第三」とある部分は「被告人Dの判示第一、第二」の
誤記と認める。)、原判決と同様の科刑上一罪の処理、刑種の選択、併合罪の加重
をした刑期の範囲内で、なお、被告人C、同Dは少年であるから、少年法五二条に
従い、同被告人らをそれぞれ主文掲記の刑に処することとし(被告人Aについて、
無期懲役刑をもって処断するのが相当と考える余地もないとはいえないけれども、
同被告人のため斟酌できる別記の諸情状を考慮すると、現段階で、同被告人に無期
懲役刑を科するのは、なお躊躇せざるを得ず、同被告人については、有期懲役刑を
選択したうえ、その処断刑の最上限である懲役二〇年に処するのが相当であ
る。)、刑法二一条を適用して、被告人A、同C、同Dに対し、原審における未決
勾留日数中三五〇日をそれぞれその刑に算入し、被告人A、同Cの原審における訴
訟費用、被告人Dの原審及び当審における訴訟費用は、刑訴法一八一条一項但書を
適用して、同被告人らに負担させないこととする。
 よって、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 柳瀬隆次 裁判官 宮嶋英世 裁判官 中野保昭)

大丈夫。いざとなったら殺してコンクリート詰めにして、最寄りの警察署の前にでも転がしてればバレナイから。此奴等は殺しても罪には問われません。

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